製造工場勤務、振り返る時なんだ… その1

人生を振り返る忘備録

前回、製造工場での研修模様、そして鍛造工場についてお届けしました。
過酷な環境ながら、同期と一緒に過ごす楽しい時でもありました。

新入社員として甘えることができる研修も終わりを迎えようとしています。
この後、同期はそれぞれ全国の配属先に散らばることになります。

すでに私も東京への引っ越し手配も完了し、残り2日。
お疲れ様の意味も込めて、同期一同、上司の方とのお食事会。

そこには、製造工場のトップでもあり、そして私の配属先である東京ブロックのトップである方ともご一緒です。
研修中も、そしてこれから先もお世話になる直属の上司である方とお話。
上司ではありますが、とても気さくでお優しい方です。

そんな方に私も気楽にお話をさせていただきました。
「いつも、東京支店配属の方は、このまま研修終わっても工場に残られるようですが、今年はないのですね~」

そこで上司の方から私に速攻でお答えをいただきました。
「嫌か?お前も残れ!」

これこそトップダウン人事でございます。

楽しく会話をしていた同期全員、一瞬凍り付きます。。
またまた私の人事で、ドッキリですか?
何も人事課からは聞いとりません!
もう引っ越し手配も完了してますよ~

どうも、冗談ではない雰囲気…
東京支店配属は延期? のようです(泣)
まわりの同期からは、あまり触らんとこ。。的なご配慮。。
人事課のスタッフさんからは何もお声なしです。
トップからの命令はそのまま決定のようです~

そして2日後、製造工場配属が研修終了前から決定していた2人をのぞき、同期は全国に散らばっていきました。

 

もはや研修でもなく、鍛造工場での仕事初日の朝。
前日に製造された鍛造品の灼熱も冷え、毎朝、総出で整理です。

何の会話もできない騒音と振動、黒いホコリ、フォークリフトは走り回ります。
みんなに混じり私も新人として、重たい鉄の塊である製品を必死で整理。

前回のお話でもご紹介させていただきました。
研修中、とても目をかけていただき、見た目は怖いながらもいつも優しかったS部長。
近づいてこられたので、私も騒音で言葉で伝えることできずとも、「これからもお世話になります」の会釈です。

その瞬間、聞こえるはずもない音が私にはしっかり聞こえました!
「バシッ!!」
痛!!

キレある、すっごい重い蹴りがケツ(お尻)に刺さった~!
S部長、研修終わったら容赦なし!(涙)

そしてS部長の指はVサイン?
いや違う?
2?
もしかして2トンの意味?
2トンハンマーに行けということみたい?

はい、初日からハンマーの中では小さいながらも2トンハンマーで作業のようです…
もちろん何の経験もない現場作業を初日の朝から仰せつかりました。

緊張バリバリ、現場の方に教わりながら、作業は『バリ取り』…
鯛焼きでいいますと、出来上がった鯛焼きのまわりに余分な薄い皮がついてますよね。
そのバリを取る作業。

ですが、相手は真っ赤に燃えて出来上がったばかりの鋼。
直接触れた瞬間に、水膨れと大火傷。
それを避けるための大きなハサミで受取り、型に入れて足でスイッチ踏む、バッコンとまわりの薄い余分な鋼(バリ)が外れる仕組みです。

などと言葉にすれば容易くも、熱い、怖い、休むことなく流れてくる部品たち。

慣れていない上に、焦ってハサミの前の方を掴むと。。
2枚重ねの軍手の下で、指たちが熱く焼けてくるのがわかる、でも放せない。
まるでジワジワジワとでも音が聞こえてきそう…
ですが意識飛びそうでも、必死のパッチなんだ!

毎朝のように、S部長からお決まりキックと指で2、3、もしくは1.5などと指示を出されます。
もはや朝の片づけが怖い(大泣)

そんな現場作業が終わると、今度は事務所でまったく違う作業を言い渡されました。
そのお話は次回に。

おかしい、今頃はネクタイはめて東京のオフィスでスマートに?
つい1年半ほど前は、ジュリスト(法律雑誌)で判例を探し、法律学んでた?

そんな私、顔は煤で真っ黒、作業着は蒸発した汗と煤の黒さが混じる。
大学4回生の時に想像した働く姿とはまったく異なる自分がそこにはいました。
それを悲しいとか、辛いとか、そんなことを思う余裕は皆無。
ひたすら生きて、ひたすら作業をこなす日々…

そんな私の社会人スタートは、ケツキックと焼けそうな指先から。
もう忘れること、この人生ではありえません。。
良くも悪くも今ある私の礎だから。。
その貴重な時間は、製造業、それも過酷な鍛造工場の世界でのことだったのです。

つづく

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