食品工場、振り返る 番外編 22年後…#2

人生を振り返る忘備録

前回、「番外編 22年後…#1」において、思いがけず22年ぶりに食品工場で働くことになりました。

22年前と違い、工場の規模も大きくなり、正社員、契約社員、そして派遣社員が混じり労働。
派遣社員として、日勤労働。
22年前は夜勤でしたが、午前9時前に出社する毎日となりました。

すでにお話をしたとおり、契約社員はまさしく穴埋め。
使い捨てエプロンにマジックペンで苗字だけを書いて作業開始です。

昔と違い厳格な手洗いから始まり、エアーシャワーを抜けて、しっかりと衛生管理がされています。
それが終わると工場内へ。
毎朝、派遣社員の配属先がホワイトボードに確認をして、作業場に向かうのです。

22年前は、契約社員として(派遣社員という存在すらもなかった)、「仕分け」に所属。
そして時々「盛り付け」班に助っ人として働いたりしていました。

つまり、「仕分け」「盛り付け」の部署しか知らなかった世界。
食品が、「盛り付け」をして「仕分け」をしたらOKな訳ではありません。

今回、派遣社員として初めてそれ以外の部署を経験することになるのです。
最初の1か月は毎日違う部署の穴埋めとして作業をしていました。

以下、食品工場内で経験をした部署のお話。
(正確でもなく、曖昧です…)

「炊飯」
まさしくずっとご飯ものを作る部署でした。
もちろん炊飯器などもなく、大きな食品機械による炊飯作業。
白飯だけでなく、味ご飯、酢飯なども。
炊飯場は、もちろん暑いんです。
ずっと炊き上がっていく湯気の中で作業。

へ~、お惣菜のご飯はこうして作られるんや~。
本当に感心しました。
ここの作業班のスタッフさんには、なぜかよく可愛がられました。
「使える派遣は久しぶりや!」
そんなお言葉をいただいたり(笑)

「熱加工」
名前だけではピンときませんでした。
何をするんだ?と作業場に向かえば…
なるほど~、揚げ物や煮物をずっと料理するのね!
もちろんこちらもベルトコンベアー式の食品製造機が並びます。
巨大な油の器で次々と揚げ物が出来上がるさまは迫力がある。
ただずっと油の匂いがキツイ…

こちらのリーダーだった正社員のひとり。
まさしく派遣社員をゴミ扱いするやからが。
そのため、朝のホワイトボードに「熱加工」山田…
それを見つけた瞬間に、「あ~今日は一日気分悪い作業なのね…」
そんな感じでした。

ですが、やはり唐揚げの下味を付けたり、包丁によるおでんの具のカット。
料理の面では、とってもよい経験でもありました。

 

「番重洗浄」
番重?
ばんじゅう?
何のこと?
と思いながら指示されたから仕方がなく作業場へ。

他としっかり仕切られた作業場に入った瞬間、猛暑と湿気!
いきなりメガネが曇り、前が見えません!

「番重」とは食品工場で使われる大きなトレイ。
学校の給食で運ばれるような、両手広げて運べるサイズのトレイ。

盛り付けをされる前の食材が、そのトレイ(番重)の中に入っているのです。
この「番重」を絶えることなく洗浄し続けるのがこの部署。
「番重」の洗浄は、温度高い湯によります。
この洗浄がしっかりされていなければ、衛生上大きな問題になるのです。
洗い残しなど絶対に許されません。
なので、洗浄も冷水ではなく、けっこうに熱い湯によるのです。

こちらも超大型機械による洗浄。
なるほど、人気がない部署なのはよくわかる!
ずっと湿度高い暑さに耐えながらの作業。
ただただ運ばれる「番重」洗浄を続ける。
洗い終わった「番重」を洗浄機から受取り、積み上げて運ぶ…

他の派遣社員さんが、「番重洗浄」に送られれば、まさしく落ち込む…
そのため、「番重洗浄」だけが単独で人員募集されていたり。

食品工場作業でも相当に過酷な部署。
ただ悪いことばかりではありません。
作業中、ほとんど会話を必要としない。
黙々と与えられた洗浄をこなす。
巨大洗浄機を暑さの中で操作しながらも…

そのため続く人は長く…

私?
この部署での作業は正社員に理由を言ってお断りしました。
いえ、ツラいのは良い。
黙々とこなすのも好き!
自分イジメしたい時だったので逆に好都合!?(笑)

ただメガネが曇って仕事にならないんだ(笑)
メガネを外したら見えない、コンタクトしてもダメでした。

 

「盛り付け」
はい、きました。
こちらの作業はすでに昔、経験済。
ただ以前と比較にならないほどに規模が大きくなっていたため、「盛り付け」作業の量も凄い。

そのため、「盛り付け」班もいくつもの少人数グループに分かれて作業です。
優しいおばあちゃんが多いグループ。
お互いに仲が悪くて喧嘩続きのグループ。
派遣社員イジメを生きがいにするおっちゃん、おばちゃんがいるグループ。

それぞれのグループには必ずリーダーがいるのですが…

あるグループは独特でした。
それはフィリピン人のおばちゃんが中心のグループ。
リーダーだけは日本人の社員さん。
「盛り付け」しながらも陽気、手と一緒に口も動いている。
お国柄ですね!
地味な食品工場内でも目立つグループ。

そんな中で目元だけしか出さない白衣で、静かに働く派遣社員の私。
フィリピンのおばちゃん、日本人のリーダーさんが英語を理解しないのをよいことに、ずっと英語で社員の悪口も。

そんな会話を聴きながら盛り付け作業を静か~に潜んでしていたのですが、おばちゃんの会話につい笑ってしまいました。

(以下、英語での会話)
「ちょっと、この派遣の兄ちゃん、英語理解してるやん!」
「あんた!私らの会話、わかってるでしょう!」
「すみません、ニュージーランドに住んでるんで…」

ってことで、バレた後は、日本人リーダーそっちのけで私も一緒に楽しく盛り付け。
初めて、自分の身の上話まで聞かれて。
このグループからは、ご指名がよくかかりました(笑)

名前も覚えていない部署での作業も色々ありました。
ブラジルから輸入した半加工の鶏肉を一日中、さばいたり…
ジャガイモの皮むきを永遠とこなしたり…
巨大な生ごみを整理したり…

とにかく色々なことを経験できる、見て覚えることができる。。
ただの派遣社員Y、顔すら見せることもない。
年齢すらバレず、人間関係はほぼゼロ。
理不尽な社員からのイジメがあっても、そんなことはおかまいなし。
毎日違うことを経験できる、それはけっこうに楽しい1カ月だったのです。

もちろん、どこで働いても作業自体は過酷…
他の派遣社員さんが途中で逃亡することもよくよくある。
派遣社員がキレてもめ出す。
そんな環境下、あっという間に時は過ぎていく。

ですが、さすがにその日一日、どんな仕事をするかわからない。
朝に出勤してから、ホワイトボードで自分の名前がある部署を確認するまで。
やはりそんな毎日が1か月も過ぎると、さすがに落ち着きたくなる。

そんな時にやっと配属先としてまわってきました。

「仕分け」

そう、22年前に2年間、夜勤の契約社員として従事した部署。
ここで、ただの派遣社員Y、活躍しだすのです。
昔の経験は、そうそう消えてはいなかったのです…

「番外編 22年後…♯3 最終」に続く。

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