ついに振り返る時、怪我と転機 その4

人生を振り返る忘備録

前回のお話、『その3』では、緊迫した手術後の様子で終わりました。

そう、何かが起きたんだ。

でも何が起きたのかは、誰も教えてくれない。
ただわかっていること、左膝の難しくもないと言われて受けた手術後…
左足全体、触られた感覚は問題なくわかる。
でも、動かない…

脳みそで、左足よ動け!と命令しても、ビクともしない。
なんとも不思議な感覚、生まれて初めて。
これが麻痺 … かぁ…

こうして文字にしてみると悲壮感が漂う。
でも思い返しみても、本人にはなぜか焦りも悲しみも心配すらない…

ただ、まだ何か起きたのかがよく理解できていない。
医師軍団も誰一人として、原因や理由を口にすることは決してない。

でも大部屋の入院患者さんには、敏感に何かの違和感を感じていたようです。
手術前までは、一度も会話をしたことがなかった。
なのに、ベッド上から動けない自分のもとには、次々とカーテンから顔を出して声をかけてくれる。
「大丈夫か~ 何か困ってないのか~」

手術前も、まして大騒動となった手術後でさえ、家族を含めて誰一人としてお見舞いにも介護にも来ない。
まぁ、この時、北海道に住む両親は手術をしたことすら知らないのだが…(笑)

手術の翌朝のことをよく覚えています。
看護師さんがベッド脇に運んできて、乗せてもらった初めての車椅子。
ここから車椅子生活がしばらく続くことになります。

入院した大きな総合病院の整形外科病棟。
基本的に整形外科の患者さんは病気があるわけでもない、だから基本元気なんです。
お腹も空く、自分の場合は痛みに耐えるわけでもなく、ただ動かない左足。
体にくっついている、左足が重たいんです。。

手術をした膝の傷跡が開かないように安静にする必要があるが、なんせ動かないのだから超安静。
暇を持て余し、ベッドから起き上がり、必死で車椅子に。
そしえ休憩室で車椅子のまま、ボ~としていると、同室のおっちゃんが助けてくれソファに移動をさせてくれる。

「おぃ、にいちゃん、この積木の上に足を動かすとこから始めや!」

動かない左足前に、高さ5㎝ほどの赤い積木を置いてくれる。
わたしは脳みそで何度も命令を送り続ける…
「左足、動け!」
「この積木の高さまで動かしてみろ!」

脳から意識なくとも動かせる手や、頭、体幹…
それが左足だけ言うことを聞かない…

この時、初めて、自分の身に何が起きたかを認識したのです。
この瞬間、「麻痺を起こして自由が利かない左足。」ということを。

この瞬間こそが先の人生において大きな意味を成すのです。
普通は存在しない…
五体満足が普通ではなく、色々な障害があることが特別なわけでもない。
なんせ、急に障害者として生活する日々が始まり、この体が私の普通という意味をすべて覆すことになるのです。
ひとつ、大きな思い上がりが消えたようでした。
(下手な言葉では言い表せない…)

ここから長い入院生活が来ます。
これからの人生に大きな影響を及ぼす…
というより、何かが、平凡な人生を私には許してくれない事実を突きつける。
大きく目の前の道がカーブをして、見えない森に向かっていくようでした。

左膝の手術痕が落ち着くと、病院側は麻痺の原因を探すため、あらゆる検査を始まるのです。
そんな状況にありながら、車椅子の自分は、他人事のように、どこか落ち着いて冷静にみている…

この時も、これからも、そして今もそう…
追いつめられると、いつも以上に冷静となり、落ち着いて物事を分析する自分がいるんですね。

実は、こんなことがありながらも、会社の業務を心配もそうしていなかった事実。
きっと製造工場や東京・千葉時代より、この時の大阪本社での業務には興味が薄かったのでしょう (笑)

さぁ、知らない世界が始まった。
意図的にでも掘られた落とし穴により、いきなり終わる平凡な生き方…
今だからこそわかる、これが人生の転機というもの。。。

つづく

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