第14話 ニュージー専門留学 怒涛の論文

Yoshiの 留学 体験記 〈 完 〉

専門課程での授業が始まりました。
最初のターム(学期)はほぼすべてが座学です。
まず論文作成のための検索方法、参考文献の利用方法などを細かく学びます。

専門課程は大学と同じく単位を修得していかなければなりません。
ただ日本の大学と違い、すべて必修科目。
もし単位を落とした場合、翌年同じ授業を履修して単位を習得する必要があります。

ここで日本の考えですと、『留年』ということになってしまいます。

ポリテク入学して大きな驚きが、この『留年』という感覚がまったく学生にないんです。。
その単位取れなくとも、来年また頑張るわ!のような本当に気楽な感じ。

前回もお話をしました。
このコースは、最短1年間ですべての単位を修得することにより、ディプロマの卒業資格を得ることができます。
ですが、あくまでも最短で1年、地元の学生はどうしても1年で!という考えがありません。

ですが、我々留学生組はそんなことを言っていられない事情があるのです。
それは、授業料。
留学生の授業料、地元学生のそれと比較して、およそ4倍!
授業料だけでなく、それぞれホームステイや寮、借家の支払いもあります。

ですから、絶対にひとつも単位を落としたくない!
そんな3人です。

でも他コースのお金持ち中国人や、遊びたいだけオイルマネー留学のアラブ人などは、単位落としても平気。
もしかしたらわざと単位捨てているような留学生もいたりするよう。

そんな甘えた留学生ではないオレグ、チー、ヨシ。
それに講師側も留学生だからと特別扱いはまったくありません。
学校側としては、できるなら来年も4倍の授業料を払ってね~感覚かもしれません。
ニュージーランドにとって、留学生受入れは大きな収入源であり、重要産業でもあるんですね。

履修単位を取得していくためには、定められた日時までに、設定されたテーマや条件を踏まえたアサイメント(論文)を提出して合格する。
もしくは、各履修科目のテストを受けて合格する。

どちらか、時には論文とテストの両方により合否が決定します。

そしてこの論文は、事務局に置いてあるポストに必ず締切日時までに投函しなければなりません。
マスト!絶対に締切を守らねばならず、一度投函したら二度と訂正できません。
時間過ぎると受け取ってもらえません。
その時点でその年における単位修得はアウト。
もちろん1年での卒業資格もサヨナラ~。。

論文作成は、必ずマイクロソフトの『ワード』を利用します。
日本を含めて世界でもっとも多く利用され続ける、文章作成ソフトです。
私は日本において、専門学校やビジネスにおいてしっかり慣れたもの。
どちらかというと、『ワード』だけでなく表計算ソフトの『エクセル』も得意分野でした。

しか~し、地元の学生、みんな本当に『ワード』のソフトを使えない。
まぁ、スポーツコースの学生たち、脳みそ筋肉なのでそれも仕方なし(笑)

それよりも困った人がここに、横に座る3歳年下のスキンヘッド。。
ロシア人留学生のオレグ。
前話でもお話しました、英会話や書くことに関しては、さすがヨーロッパ人です。
何も問題がない、羨ましすぎ…

でも、こやつ、まっったくコンピュータを使えない。
当時のことですが、ロシア人にとってもPCは未知の機械だったのでしょうか?

とにかく『ワード』ソフトが使えない前に、PCが使えない。
ということで、急ぎPCの先生をするのは、この私です。

電源の入れ方。
(ヨシ、壊れないか?とこわごわポチっとしてた…)
クリックの仕方
(最初、クリックして!と言ったら、「クリック!」と口ずさんだ…)
コピペの仕方。
(初めてコピペできた時、握手してきた。)
文字入力方法。
(図書館のPCで早撃ちゲームしながら入力練習させた。)

自分の論文に四苦八苦しているのに、こちらも厳しい締切ある中、図書館のPCで教え込みます。

そう、自分の論文もどうしましょう?
英語で初めて書く論文。
どう書けばよいのか、英語はどうなのか?
ひとりで考えていても打開策なし。
仲間のオレグも台湾人のチーにも助けてくれるような余裕はゼロ。

仕方なく、仲良きスタッフいっぱいのインターナショナルセンター(留学生担当の部署)でご相談。
「ヨシ、ノ~プロブレムよ!そんな留学生の論文をチェックしてくれる先生がいるから、図書館で予約して見てもらいなさいな!」
お~、そういう手があったのか!
さすが4倍の学費を支払う留学生へのサービス、やるではないか~

早速図書館の窓口で予約、30分間じっくり提出前の論文をみてもらうことに。

当日、優しそうなおばちゃん先生と対面で座り、赤ペンチェック開始です。
最初は先生もおおらかに無駄話をしながら。
だんだんとおばちゃんの顔が曇る。。

論文の紙がだんだん赤ペンで染まる。。。
そのうち余白もないほどに赤ぺんで訂正が入る。。。。

あっという間に予約の30分が過ぎようとしています。
おばちゃんから、
「ヨシ、30分じゃ足りないわね…、もう1回分予約してまた来て…」
そして席を立ちながら、大きなため息を残していきました。
あの瞬間は、10年以上経過しても忘れない(泣)

いえ、もういいです。
間違いなく、私の論文は小学生の作文のようなのでしょう(泣)

知り合いの日本人の旦那さん、kiwiながら少し日本語もできるし、論文みてもらおう!
そうしよう、もうあのおばちゃんからは逃げましょう。

ということで、気を取り直して再び論文チェックをしてもらい、赤ペンの訂正が入った論文がもどってきました。
論文の最後に赤ペンで何か書いてあります。
たどたどしいけど日本語で。

「ヨシのえいご、うんこ!」
親切にも最後に、うんこマークまで付いてる……

これ以降、たとえ英語を褒められても思い浮かぶ。
私の英語、うんこ…?

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