製造工場、研修だから振り返ることもね!

人生を振り返る忘備録

この『振り返る』シリーズ(知らぬ間にこのシリーズ名)、前回のお話で配属先が決定後の配属先にご挨拶もボロボロながら完了。
およそ1か月間、就職した会社グループ会社である製造工場にて最終の研修期間を過ごします。

ここで最初にお伝えしておきます。
これからのお話、約30年前のこと。
現在は、まったく状況も変わっていることをご承知ください。
といいますか、現在の状況は正確に把握していません。

『鍛造』という言葉をご存知ですか?
研修は、この鍛造工場にて行われます。

鍛造について超々簡単に説明を。
熱く柔らかい鉄(特殊鋼)の塊を、型に置き、上からハンマーで叩く。
そして金型の形状をしたそれぞれの部品などを製造していきます。

今はたい焼きの超ドデカ版を製造ぐらいの想像から始まりましょう。

では、この工場現場の過酷さを説明です。

服 装
長袖、長ズボンの作業着。
靴はつま先に鉄が入った安全靴。
ヘルメットは必須!
手袋、軍手は基本2枚重ね。
すぐにススで作業着は当然、顔も真っ黒が当たり前。

騒 音
昼休み以外、途切れることなく、ゴ~ン、ゴ~~ン、と耳をつんざく騒音。
まったく現場では普通に会話をすることはできません。
耳栓をして難聴予防が必要。

振 動
上から途切れることなく叩き続けるハンマーにより、地面はずっと揺れています。
もちろん現場には振動対策が施されているので、緩和されているはず。
それでも慣れるまでは揺れを感じつづけるのです。

気 温
鉄(特殊鋼)の塊を熱する炉は、1,200度以上。
現場は暑いという表現は不適切。
春の季節とはいえすべてが熱い、材料に近寄れば痛い、熱風、経験のない過酷な状況。
ですが、現場ではまったく汗をかきません。
なぜなら、汗はすぐさま蒸発をし、作業着上に白く塩のみが残るから…

現場風景
ハンマーという、鉄(特殊鋼)の塊を上からぶっ叩く機械が並んでいます。
ハンマーは小さい物で、電子レンジを縦に5台ほど積んだほどか。
大きいハンマー、印象的にガンダムサイズ。
高さは10mほどでしょうか。。
何せ、そこにはプロ集団がいて、雰囲気的にも近づけるものではありません。

危険性
気を抜けば構内を走り回るフォークリフトに引かれそう。
いたるところには、触れば一発で醜い火傷となる、出来立ての製品が転がる。

たい焼き屋さんからはイメージが変わりましたか(笑)
それが30年前とはいえ、まだ大学を卒業して間もない若造には驚愕です。
現代にこんな過酷で危険このうえない職場たるものがある。。
それにまさしく度肝を抜かれ、そしてそこを職場としている職人さんが数多く存在することに、衝撃を受けていました。

今回、『鍛造工場』で動画検索をしてみたのですが、どの動画もさっぱりその頃の様子を的確にイメージできるものは存在しませんでした。
当たり前ながら、動画には想像を絶する常時耳栓が必要な騒音の変わりに、軽やかなBGMが流れています。
現場は綺麗に清掃され、作業着はとっても綺麗。
危険そうな製品は最小限に動画内に存在。

当時の「鍛造工場」は、私にとって想像を絶する現場。
大学を卒業し、ビル内の基本的に白い壁に囲まれた、PCと電話が並ぶ整然としたオフィス。
そんな甘い環境とは天と地、天国と地獄とはっきり表現できる目の前の光景。

研修でお勉強というより、そんな社会の現実が存在することを目にする。
大卒として考えていた働くというイメージを根こそぎ変わる。

人事課としては、これから会社員として売っていく加工品を身を持って理解することが目的かと。
そして新社会人としての厳しさも学ぶことが必要なのでしょう。

ですが、時はバブルの後半(当時は後半とは思っていませんが(笑))。
社会人1年目の何も役に立たない若造を、相手にしているほど現場に暇はない。
それにグループ会社のいわばホワイトカラー部門の社員たち。
邪魔ながら、春の恒例として割り切った新入社員研修です。

当時、現場のトップであったS部長。
見た目から現場あがりの怖いおっさん。
目つきから危ないオーラを全開。
そのS部長でさえ、私たちには笑顔でした。
なぜか特に私には優しかったのです…

現場では怪我のないように安全、大事に扱われます。
残業もなく、定時に終わり、工場社員よりも先に一番風呂。
同期と一緒に暮らす寮に帰れば、美味しい夕食が待っていました。

とんでもなく過酷な現場の研修ながら、私たちにとっては、1カ月限定の経験です。
いわば環境が変わった、新しい経験ができる有意義な研修というのが当時の心境でした。

当時の工場長と自分が研修後に配属となる東京支店のトップは同じ。
そのために東京配属の新入社員は、研修後も工場に2,3カ月残るのが通例ながら、私には人事からも東京からもその指示もなし。
きっとこいつには工場居残りは無理だろうと判断をされていたのでしょう(笑)

休みの日には、同期と遊びに行き、美味しいものを食べて気分転換。
鍛造工場という未知の、想像を絶する環境ながら、同期と共に働き暮らす、貴重な楽しい研修が終わりが迎えようとしていました。

ですが………

つづく

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